今日は2021年3月11日です。

日本中に大きな衝撃を走らせた東日本大震災からちょうど10年になります。

改めまして、被害に遭われた方々へ心からのお見舞いを申し上げます。

 

今回は東日本大震災に関連して、「社会デザイン」というテーマについて考えていきます。

記事に入る前にこの「社会デザイン」について、一つご報告があります。

弊社社長冨田が、立教大学大学院の社会デザイン研究所の研究員に就任いたしました。

>>立教大学大学院のページ

これから更に、社内でも知識を深めていきたいと思い、今回このテーマについて書かせていただきました。

 

社会デザインとは

社会デザインという言葉は比較的新しい言葉なのですが、定義に関しては提唱する人により若干異なるようです。

その前提を踏まえた上でご説明すると、社会において個人・企業としてそれぞれの責任を自覚し、社会問題の解決をすることによって、より居心地の良い社会を創造するという意味になります。

ソーシャルデザインとも呼ばれております。

社会と言うと、スケールが大きいように感じるため、自分一人の力でどうにかできるようなイメージはわかないかも知れません。

しかし、ここで言う社会については、様々な構成要素から成り立つものだと考えられます。

その構成要素には、カテゴリなどは存在しないため、教育、福祉、災害、産業など社会を構成する様々な要素について、課題を抽出し、解決し、よりよい社会をデザインするようなイメージになります。

 

アフター3.11(個人の意識の変化)

皆さん、「マズローの欲求5段階説」をご存知でしょうか?

「マズローの欲求5段階説」とは、心理学者アブラハム・マズローが「人間は自己実現に向かって絶えず成長する生きものである」と仮定し、人間の欲求を5段階に理論化したものです。

 

人間には5段階の「欲求」があり、一番下から順に欲求を満たそうとする基本的な心理的行動があります。

3.11が起きた時、まさに一番下の生理的欲求が満たされない状況に追い込まれた人も多くいました。

生理的欲求とは、「食べる」「排泄する」「寝る」などの、生命を維持していくために最低限の欲求になります。

多くの被害をもたらした地域は、ここの第一段階でのストレスを多く感じていたと思います。

 

第二段階の安全欲求は、安心・安全な暮らしへの欲求です。

全国的に見て、ここに対して意識が向いた人が多かったのではないでしょうか。

そして、普段気づかなかった「私達の安心・安全な暮らしはたくさんのサポートと共に成り立っている」という部分について気づけたことが、アフター3.11での社会デザインへ大きく関係しているようにも思えます。

東日本大震災後の平成24年に国土交通省が実施した「国民意識調査」で「東日本大震災後の考え方の変化」について聞いたところ、「防災意識の高まり」(52.0%)が最多で、「節電意識の高まり」(43.8%)、「家族の絆の大切さ」(39.9%)が続きました。

参考:第2節 震災後の国民意識の変化 – 国土交通省

 

そして、第三段階の社会的欲求は、友人や家庭、会社から受け入れられたい欲求になります。

数々の調査で、3.11のあとに「家族との時間」を大切にするようになったという結果が出ております。

平成25年に内閣府が行った世論調査では、東日本大震災前と比べて,社会における結びつきが大切だと思うようになったか聞いたところ,「前よりも大切だと思うようになった」と答えた者の割合が77.5%,「特に変わらない」と答えた者の割合が21.3%,「前よりも大切だとは思わなくなった」と答えた者の割合が0.6%となっております。

参考:世論調査報告書 平成25年2月調査

 

第四段階の承認欲求は他者から尊敬されたい、認められたいと願う欲求です。

第三段階までは、外的部分を満たしていきたいのに対し、第四段階からは内的部分を満たす方向へ向かいます。

そして、最後の第五段階が自己実現の欲求で、自分の世界観・人生観に基づいて、「あるべき自分」になりたいと願う欲求です。

 

第四段階と第五段階については、かなり個人差がある部分かと思います。

そして、「災害」という自分達の力ではどうにもできない部分が多い力によって、たくさんの恐怖や悲しみに包まれたことにより、ピラミッドの上の欲求ではなく、下の方の欲求を満たそうとする動きが多かったように思えます。

 

ここまでは、マズローの欲求五段階説を用いて、個人の意識の変化について書かせていただきました。

 

多くの個人の意識が変化することにより、家族やコミュニティが変化し、企業や地方自治体などの「組織」にも変化が生じてきます。

 

次に組織による変化について、見ていきたいと思います。

 

アフター3.11(組織の在り方の変化)

デロイト トーマツ 企業リスク研究所が、東日本大震災後の企業のCSR活動について、上場企業の時価総額上位100社を対象とし、企業WebサイトやCSR報告書などの公開情報を基に実施した調査の結果によると、震災後に各企業が特徴を生かしながら、積極的に支援を行っていたことが読み取れます。

 

調査結果サマリ

‒ 約9割の企業で支援を実施、支援の内容は寄付(84%)、物資提供(55%)、人材の派遣(29%)

‒ 5割超の企業で翌営業日に、約8割の企業が1週間以内に寄付を決定・公表、金額は1億円以上2億円未満が最多(35%)

‒ 各社が得意分野や企業活動を通じた支援で独自性を発揮

引用:デロイト トーマツ

 

震災後は、全国的にも間接的な被害を受けて売り上げが落ち込んだ企業も少なくありませんでした。

そんな中でも、「自分達にできること」を模索して支援している企業が多かったのではないかと思います。

 

組織として、「困ってる人たちを支援しよう」という意識が重なり合い、ある種の”社会貢献ブーム”のようなものが生まれ、まさに社会がデザインされたように感じます。

 

ホクセイと社会デザイン

ここまで3.11と社会デザインという部分について書かせていただきました。

ホクセイと社会デザインについて考えた時、これから企業としてどう社会をデザインしていくか、と言ったような大それたことではなく、企業として社会問題に対して地道に取り組み、解決していく事が良き社会デザインの一助になると考えております。

 

そして、SDGsのリーディングカンパニーとして、社会問題に対して積極的に取り組む姿勢を見せていく事もまた、社会デザインの一つになると思っております。

今でこそSDGsの波がありますが、一時的な流行ではなく、企業として社会問題を解決していく事は、継続的に行っていく必要があります。

 

アルミの老舗企業として、地球温暖化の原因と考えられている温室効果ガスの削減のため、自動車の軽量化には欠かせないアルミをより精度の高い形で提供し続けることはもちろんのこと、プラスチックごみ削減のためのアルミの活用など、事業を通して地球に配慮していくこともできます。

さらに、事業だけではなく、パートナーシップを含めた雇用の在り方、女性の社会進出に関連した部分など「働き方」に関する課題、そして、CSRとして地域の教育に貢献してきた実績を踏まえ、企業としてできることはまだまだたくさんあると考えております。

 

そのご縁があって支援できる一つ一つの社会問題に対して、丁寧に取り組み解決していく事が、ホクセイにとっての社会デザインであり、よりよい未来を築いていく事だと確信しております。

 

最後に

改めまして、東日本大震災で亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された皆さまに心よりお見舞い申し上げます。

大きな悲しみと共に、数々の気づきを与えてくれたこの出来事を、決して風化させてはいけないと思っております。

しかし、悲しさに沈んでばかりではなく、生かされてる身としてしっかり前を向いて、まずは自分自身の人生をデザインしていくことを考えていく事が大切です。

その人生デザインが、誰かのためになり、やがて社会のためになり、社会をデザインしていくのだという事を、私たちは決しては忘れてはいけないのだと思います。