クルーの航海日記 Vol.5
語り手:若林 優奈(ホクセイプロダクツ / 営業事務)
聞き手:インタビュアー
■旅行の仕事が、止まった
インタビュアー:若林さん、本日はよろしくお願いします!しっかりお話しさせていただくのは初めてですね!
若林さん:よろしくお願いします!そうですね、初めてしっかりとお話しさせていただきますね!(笑)
インタビュアー:ホクセイプロダクツに来る前はどんな仕事をされていたんですか?
若林さん:旅行会社で、修学旅行の添乗、バスツアーの企画、法人旅行の営業をやっていました。
中学校の時などの、修学旅行にいる添乗員さんに憧れていたんです。
インタビュアー:旅行の仕事はどうでしたか?
若林さん:好きでした!修学旅行だと子どもたちが目を輝かせているのを見るのが嬉しくて。バスツアーで年配のお客さんが喜んでくれる場面もあって、この仕事でよかったなと思っていました。
インタビュアー:それがどうして転職をすることにしたんですか?
若林さん:コロナの影響が大きかったです。コロナにより、旅行業界は大ダメージを受けました。特に私のような修学旅行や社員旅行などの営業には大ダメージでした。
旅行自体ができなくなっていくし、修学旅行もキャンセルが続いていって。
営業に行くことすらも「ウイルスを持ち込んでくるな」という雰囲気になるご時世で、かなりその時はしんどかったです。
インタビュアー:それは精神的にきつかったですね…
若林さん:少し肩身が狭かったです。業界全体が止まってしまっていて、これから先どうなるんだろうという不安がずっとありました。
旅行が好きで続けたい気持ちはあったけど、業界の先行きが見えなくて、違う道を探してみようと思い、転職を考え始めました。
インタビュアー:そんな中でホクセイプロダクツを選んだのはなぜですか?
若林さん:事務職で、富山で働けるというのが決め手でした。旅行会社では外を飛び回っていたので、今度はオフィスでしっかり仕事をするのも悪くないかなと。
前の職場がコロナの影響によって変わっていく姿を見ていたこともあり、
業界を変えるなど変化に対する恐怖心がなかったため、すんなりと選択をできました。
インタビュアー:商社という業種への馴染みはありましたか?
若林さん:ほとんどなかったです。アルミニウムとか医薬品パッケージとか、そういう世界があることを入社して初めてちゃんと知りました。
最初はピンとこないことも多かったけど、少しずつわかってきた感じです。
■主役じゃなくていい、ずっとそうだった
インタビュアー:今の仕事内容を教えてもらえますか?
若林さん:営業事務として、見積作成、受発注の管理、納期調整や、納品書・請求書作成などをやっています。お客様から注文が入ったら仕入れ先に発注して、製造と納品のスケジュールを管理する、という流れが基本の仕事です。
いわゆる裏方仕事になるんですが、もともと野球部のマネージャーをやっていたこともあり、そうした仕事は好きなんです。
インタビュアー:野球部のマネージャーをされていたんですか!?
高校野球のマネージャーですか?
若林さん:実は、高校野球だけではなく、大学野球も、7年間ずっとマネージャーをやっていました(笑)
インタビュアー:7年間マネージャーをやっていたのはすごいですね!
なんでマネージャーをやろうと思ったんですか?
若林さん:自分自身が高校入学前にソフトボールをやっていたことや、兄弟が野球をやっていたこともあり、高校で始めました。いざやってみると、自分に合っているなと感じました。
インタビュアー:結構マネージャーって大変ですよね…
若林さん:そうですね…
選手より30分早く来て準備をしないといけなかったり、
大学野球では球場手配や備品発注などの調整もしないといけなかったりなど、かなり忙しかったです。
大学時代は友達と遊ぶという概念もないくらい毎日それをやっていたんですけど、全然嫌じゃなかったんですよね。
インタビュアー:なかなかマネージャーをやろうと思う人も多くないと思うんですが、どういうモチベーションでやっていたんですか?
若林さん:やっぱり試合に勝った時は一番嬉しいです。
自分が打ったわけじゃないのに、チームが勝ったら本当に嬉しくて。
「ありがとう」って言ってもらえると、それだけで十分という気持ちになれたり。
「自分が主役!」というよりかは、「主役が動きやすいように整える」方が自分には向いているんだなと思います。
インタビュアー:それは今の仕事観にもつながっていますか?
若林さん:つながっていると思います。今も主役ではなく、サポートの方が向いているのかなと感じています。
営業事務って、営業担当さんやお客様のために動く仕事なんです。
前に出るというよりは、うまく回るように支えるという仕事で、
やっていることの本質はマネージャーの頃から変わっていないのかもしれないですね。
■みんなの声が、私の耳に入ってくる
インタビュアー:主にどういった業種などを担当されているんですか?
若林さん:弊社で扱っている医薬品パッケージなどを主に担当しています。薬の製造だと、製造スケジュールがあるため、それに合わせてパッケージを届けなければならなかったりと、シビアな部分があったりします。
最悪の場合、薬の製造が遅れる可能性が出てきてしまう。だからお客様もすごく気にされていて、確認の連絡も頻繁に来るので、こちらも細かくスケジュールを追いながら動くようにしています。
インタビュアー:納期の調整というのはかなり大変なお仕事そうですね。
若林さん:どうしても構造上、板挟みになる仕事ですので、そこは大変な時があったりはします。
お客様の立場からすると「納期を前倒ししたい」という希望があったり、仕入れ先の工場からは「納期を何度も変更しないでほしい」という声があったりと、それぞれの状況と要望があります。
インタビュアー:両方からプレッシャーがかかっているわけですね…
若林さん:そうなんです。けれど、どちらの言い分も、立場から考えればもっともなことです。
お客様は薬の製造ラインに影響するから焦っている。
工場は生産計画を組み直すのが大変だから困っている。
どちらも当然の反応なんですよね。
そうしたひとつ一つの大変な調整を間に入り、円滑に進めていくというのも商社の仕事だと思っています。
インタビュアー:そうした状況になった時は、どう対処するんですか?
若林さん:まず立ち止まって、状況を整理します。
お客様がなぜ急いでいるのか、工場側がなぜ難しいと言っているのか、それぞれの背景を把握してから動くようにして。
感情的になっている状態で連絡しても、うまくいかないことが多いので。
焦って動くより、少し整理してから動く方が、結果として速いことが多いんですよ。
インタビュアー: なるほど。板挟み状態にしんどくなったりしませんか?
若林さん: あまりそう思わなくなっています。両者の声が自分のところに来るということは、両方の状況がわかっているということでもあります。
片方だけを見て動けば、片方に押し付けてしまったり、迷惑をかけてしまうことだってあり得ます。
みんなの声が耳に入ってくるこのポジションだから、間に立てる人間になれる。
それが自分の役割だと、今は思っています。
インタビュアー: それはマネージャーの頃と同じですね、ある意味。
若林さん: そうなんですよ、言われてみると。
試合には出ないけどチームが勝てるように裏方で整えながら動く。
今やっていることと、本質的には変わっていない気がします。
■持ちつ持たれつが、ここまで来た
インタビュアー: 板挟みの調整をする時、コミュニケーションはどうやってとるんですか?
若林さん: 電話が多いですね。
急ぎの対応や複雑な調整は、メールより電話でやる方が早くて確実なことが多くて。
インタビュアー: 電話でやりとりする難しさはありますか?
若林さん: あります。顔が見えないので、言い方が全部になるんですよ。
対面なら表情や雰囲気で補えることが、電話だと声だけで伝えないといけない。
特に難しいのが、お客様の要望を工場に伝える時の言い方で。
インタビュアー: どういうふうに言葉を選ぶんですか?
若林さん: 「お客様がこう言っているから早くしてください」とストレートに言うのではなくて、現状や早くしたい背景を説明をした上で、丁寧にお願いをするようにしています。
相手ができるだけ嫌な気持ちをせず、双方にとってそれが結果として良くなるように話しています。
お客様と仕入先を対立させるのではなく、同じ問題を一緒に考えている雰囲気を作りたいんですよね。
どちらかを悪者にするのではなく、一緒に着地点を見つけよう、という感じで話すようにしています。
インタビュアー: なるほど、どちらかを落とすのではなく、一緒に解決しようという感じですね、
若林さん: はい、そういうことです。そうすることで、お互いとの関係地が深まり、より仕事を円滑に進めることができる関係になっていくと考えています。
インタビュアー: 長く続いているお取引先との関係で、大事にしていることはありますか?
若林さん: 相手の状況を理解することだと思っています。
仕入れ先も、工場側の制約の中で動いているわけで、こちらの要望だけを一方的に押しつけるのではなくて、「今あちらはこういう状況だから、ここは少し融通しよう」とか、「前に無理してもらったので、次はこちらが動く」とか、そういう考え方でやっています。
インタビュアー: 持ちつ持たれつ、ということですね。
若林さん: そうなんです。どちらかが無理をし続けている関係は、どこかで崩れるんですよ。お互いに融通し合える場面を作りながら、長く付き合っていく。
最初はそこまで考えられなくて、目の前の案件をこなすことで精一杯でしたが、何年かやっているうちに「あの時無理をしていただいているから、ここはできる限りここは向こうに合わせよう」という感覚が出てきました。
インタビュアー: 取引って、積み重ねるものなんですね。
若林さん: そうだと思います。
一回一回じゃなくて、続いていくものだという実感が出てきてから、仕事の感覚が少し変わった気がします。
今は無理してくれた相手に「ありがとうございます」と伝えることが自然にできるようになっています。
それが次につながっていく、という手応えがあります。
インタビュアー: 営業事務という仕事を、こういうふうに語ってもらえるとは思っていませんでした。
若林さん: 地味に見えると思うんですよね、外からは。
でも実際やってみると、色々な人の間に立って、それぞれの状況を読みながら動く、という判断の仕事でもあって、マネージャーも似ていたんだと思います。
インタビュアー: 富山でここに根を張って仕事をするというのは、今どんな感覚ですか?
若林さん: ここでちゃんとやれることが、自分にとっての豊かさだと思っています。
大きいキャリアを追うより、今いる場所でいい仕事をして、お客様とも仕入れ先とも関係を積み重ねていく。
それが自分の性に合っているし、富山でこういう仕事ができていることは、ありがたいことだと感じています。
インタビュアー: 若林さんらしい仕事の仕方を聞けた気がします!
本日はありがとうございました!