先日、社内会議で「業態を変える、技術を変えるタイミングがビジネスチャンスだ」という話が出ました。

昨今、新型コロナウイルスの影響で業態を変える企業も多く出ておりますが、これをビジネスチャンスと捉える事もできます。

今回は「イノベーション」をテーマにお送りしていきます。

 

日本の携帯市場を大きく変えたiPhone

 

今では、新作が出ると行列ができるほど人気のiPhoneですが、日本で発売された当初は、専門家の間で「日本では受け入れられないだろう」という見方もあったのをご存知ですか?

iPhoneが初めて日本で発売された2008年7月11日。

徹夜組を含め1500人以上が並んだと報じられました。

ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長は、「これほど人々に感動を与える商品は、歴史上あまりないのではないか」と興奮した様子で聴衆に語りかけたそうです。

そして10年以上が経過し、今ではiPhoneが日本の携帯市場をリードしていると言っても過言ではありません。

ここで興味深いのが、発売当初の専門家の予想が外れたという点です。

メディアの後押しもあり爆発的大ヒットとなった部分もありますが、ここには見落としがちな「イノベーション」の考え方が含まれていなかったという点が、予想を大きく外したとも言えます。

専門家の間で出されていた意見は、「今ある市場」に対しての見方が多くあり、「新しい市場が創られる」という視点が少なかったとも言えます。

更に遡ってアップルの戦略を思い出していただけるとわかりやすいかと思います。

 

市場の掛け合わせ

 

アップルはiPhone以前にも「市場を創る」ことに成功していた事例があります。

2001年に発売されたiPod。

初代iPodは、5GBのハードディスクを持ち、399ドル(現在のレートで約4万円)で発売されました。

実はこの当時、異なる2つの市場で課題を抱えていたところを、このiPodが掛け合わせることによって解決したとも言えます。

1つの市場はポータブル音楽プレーヤーです。

当時はまだまだCDやMDのウォークマンが使われていた時代。

よりコンパクト化が求められ、更にはより大きな容量を求められていた時代ですが、突如として現れた「1000曲持ち運べる」iPodは大きな衝撃を与えました。

もう1つの市場は、音楽ダウンロードサービスです。

今では音楽配信サイトなどは普通に利用されておりますが、当時はデジタル時代が始まったばかりでした。

ナップスター(Napster)の登場によってMP3が人気となり、インターネットユーザーは初めて、無料で音楽をダウンロードし、共有できるようになりましたが、ナップスターはアメリカレコード協会(Recording Industry Association of America:RIAA)からの批判を受け、2001年に閉鎖を余儀なくされました。

同じ2001年にアップルから5種類のiPodが発売され、デジタルメディアプレーヤー「iTunes」を発表しました。

21世紀になると、YouTubeをはじめ、Pandoraなどのインターネットラジオ、Apple Music、Tidal、Spotifyのようなストリーミングサービスが人気となりました。

最も人気のストリーミングサービス、Spotifyは1億人以上の有料ユーザーを抱えておりますが、このiPodが市場を創ったと言っても過言ではありません。

既存の市場の拡大という視点だけではなく、市場を掛け合わせる視点を持つことで、2つの市場にイノベーションを起こし、さらに大きな市場を創った事例とも言えます。

 

イノベーションを起こすには

 

冒頭で述べたように、「業態を変える、技術を変えるタイミングがビジネスチャンスだ」という話が社内会議で出たという事を書かせていただきましたが、その「ビジネスチャンス」を見つけるためには「目の付け所」が大切になってきます。

 

前項までは過去の事例についてご紹介させていただきましたが、「ビジネスチャンス」を「イノベーション」に繋げるということは、過去の常識に縛られず、競合を観察せず、隠れた顧客を発掘して新しい仕組みを構築し、価値を提供するとも言えます。

 

ここで大切なのは「アイデア」になってきます。

パターン化にくいもので、閃きが大切になるからこそ価値があります。

しかし、前述のようにパターン化しにくいので、「〇〇すれば新しいアイデアが生まれる」とも言えません。

それでは、どのように斬新なアイデアを出していったらよいのかについて考えてみましょう。

「イノベーション脳を鍛える」と言ったような本やワークもたくさんありますので、そういったものを活用するのも良いと思います。

この記事では、「仮説思考」についてご紹介したいと思います。

 

仮説思考とは

 

ここで言う仮説思考とは、イノベーションを起こすために仮説を出すことを指します。

「もし〇〇できたら」というような仮説を立てていくという事です。

具体的な例を挙げていきます。

 

  • Skype

「もし海外と無料で会話できたら」という仮説のもとに発展したサービスがSkypeです。

サービス開始から5年でユーザー数は4億人、通話回数は1000億回を突破したと言われております。

国際電話という固定概念を離れ、ネット回線を使った無料通話サービスを展開した事が、仮説の実現へと繋がりました。

 

  • IKEA

「もしパッケージされた家具のパーツを持ち帰り、自分で組み立てる事で安く購入することができたら」という仮説のもとに展開されたのがIKEAです。

今は様々な家具屋さんでこのような販売方法が採用されておりますが、IKEAはこの販売方法の先駆けで、1960年に導入しました。

 

  • 俺のフレンチ

「もしリーズナブルな価格で本格フレンチを堪能できたら」という仮説が実現した飲食店が俺のフレンチです。

ここで肝になったのは、「立ち食いスタイル」ということです。

品質を落とさずに提供価格を下げるという事は、利益率の低下を意味します。

そして、フレンチという食事スタイルは「長時間着席する」という既存の概念がありました。

この着席スタイルを立食スタイルにするという斬新なアイデアが、お店の回転率をアップさせ、利益率が低くなっても採算がとれるという希望を生み出しました。

フレンチ料理を提供する顧客を、一部のリッチな層ではなく、大勢いる一般的なサラリーマン層にすることで、より大きなマスを狙えた事が成功の要因とも言えます。

ここでも、最初の仮説を実現するためのアイデアが、非常に重要になってきたと考えられます。

 

「もし〇〇できたら」というような形で3つほど例を挙げさせていただきましたが、既存の市場だけを見るだけではなく、一見すると「賛否両論ありそう」と思われるような柔軟な発想が、その後の市場創造にも繋がるのかもしれません。

 

我々ホクセイプロダクツも、既存のお客様に対して、さらにこれから出会うお客様に対して、様々な形でご提案できるよう努めてまいります。