【note掲載】【緊急解説】UAEアルミ精錬所への攻撃が「缶ビールと住宅」を高騰させる。富山の専門商社社長が明かすアルミショックの真相

※今回の記事は、弊社代表である冨田が外部の記者による取材をもとに作成された、インタビュー記事となります。

3月末、アラブ首長国連邦(UAE)において最大規模を誇るアルミニウム精錬所 エミレーツ・グルーバル・アルミニウムが、イランからのミサイルおよびドローンによる攻撃を受け、重大な被害を被ったというニュースが世界を駆け巡りました。

中東の遠い地で起きたこの地政学的リスクは、決して対岸の火事ではありません。現在、私たちの毎日の食卓に並ぶ缶ビールや日用品、さらには自動車や住宅インフラの価格に至るまで、日本人の生活そのものを根底から揺るがすアルミショックの引き金となっています。

世界のアルミ供給網が深刻な脅威にさらされる中、アルミニウム地金のほぼ100パーセントを海外からの輸入に依存している日本は、今後どのような事態に直面するのでしょうか。

富山県高岡市に拠点を置き、アルミ専門商社「ホクセイ金属」の代表取締役を務め、法政大学大学院で連携教授としても教鞭をとる冨田昇太郎氏に、
アルミの現場で起きている異常事態の実態と、この未曾有の危機を生き抜くための企業の生存戦略について詳しくお話を伺いました。


「復旧まで最大1年」UAE巨大精錬所被弾で、アルミ現場に何が起きているのか

— UAEにある巨大アルミ精錬所が攻撃を受けたという報道がありました。まずは現場で何が起きているのか、その実態と深刻さについて教えてください。

冨田 今回攻撃を受けたのは、中東でも最大規模のアルミニウム製造拠点です。そもそもアルミニウムの精錬というのは、ボーキサイトから抽出したアルミナを、巨大な炉の中で電気分解することによって製造されます。

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世界のアルミ新地金の生産の地域別の構成比(25年)

この工程には莫大な電力を要するため、アルミニウムは「電気の缶詰」とも呼ばれています。通常、炉の中では数百度という高温でドロドロに溶けた状態のアルミニウムが維持され、それを連続的に取り出していく仕組みになっています。

しかし、精錬の最中に施設が攻撃を受け、電力供給や制御システムが停止してしまったらどうなるか。
炉の中にある高温のアルミニウムが急激に冷却され、固化し、炉の内壁に完全に張り付いてしまうという致命的な事態に陥ります。

— 物理的に取り出すことが不可能になってしまうということでしょうか。

冨田 おっしゃる通りです。これは「少し設備を修理して再稼働させる」といった次元の話ではありません。
一度炉の中でアルミニウムが完全に固まってしまえば、その巨大な塊を砕いて取り出し、炉そのものを大規模に修繕、あるいは作り直す必要に迫られます。
完全に復旧して元の生産ラインを動かせるようになるまでには、最大12ヶ月を要すると推測されるという報道もありました。その期間、この巨大な拠点からのアルミニウム供給が完全に途絶えることを意味しており、世界の需給バランスにおいて著しい供給不足を引き起こす直接的な原因となっています。

— さらに、中東から日本へ運ぶための物流網にも強い懸念があると伺っています。

冨田 はい、ホルムズ海峡の封鎖リスクという極めて重大な問題が重なっています。仮に他の施設等で現物の地金(インゴット)が確保できたとしても、中東からの主要な海上輸送ルートである海峡が封鎖、あるいは航行の安全が脅かされれば、貨物船がそこを通過できなくなります。
結果として、船に積み込んだアルミニウムがいつまで経っても日本に到着しないという事態が発生します。

巨大生産拠点の物理的な破壊による供給の断絶と、地政学的リスクによる物流の麻痺
この二重の打撃によって、現在アルミニウムの価格は歴史的な高騰を続けており、調達現場はかつてない緊迫感に包まれています。


なぜ日本だけが窮地に?「100パーセント輸入依存」のツケ

— 今回のUAEの工場稼働停止は、日本経済にとってどれほどの影響を及ぼすのでしょうか。他国と比較して教えてください。

冨田 日本にとっては、まさに死活問題と言えるほど甚大な影響があります。日本のアルミニウム新地金の輸入相手国構成を見てみますと、オーストラリアが約3割を占め、次いでブラジルが約15パーセント、そして今回問題となっているUAEが約12パーセントを占め、第3位の主要輸入元となっています。

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日本のアルミ新地金輸入の相手国別構成比(25年)

対照的に、アメリカ合衆国の状況を見てみますと、自国での消費分の大半である約69パーセントを、隣国であるカナダから陸路で輸入しています。陸路での輸送網が確立されているアメリカにとって、中東の地政学的な混乱は致命的なダメージにはなりにくいのです。
つまり、海路に依存し、中東からの輸入割合が小さくない日本にとって、これは極めて特有かつ深刻な危機だと言えます。

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米国のアルミ新地金輸入の相手国別構成比(24年)

— 日本は自国内でアルミニウムを精錬し、生産することはできないのでしょうか。

冨田 現在の日本の産業構造では、自国での精錬は実質的に不可能です。
歴史を振り返りますと、1970年代の高度経済成長期まで、日本はアメリカに次ぐ世界第2位のアルミニウム生産大国でした。

しかし、オイルショックによるエネルギー価格の暴騰がすべてを変えました。先ほど申し上げた通り、精錬には莫大な電力が必要です。当時、火力発電に依存していた日本の大手精錬メーカーは、電気を使って精錬すればするほど莫大な赤字が膨らむという状況に追い込まれ、国内での精錬事業からの撤退を余儀なくされました。
その後も、豊富な水力発電を利用できる一部の企業が国内での精錬を継続していましたが、エネルギー効率やコスト競争力の観点から、約10年前に完全に事業を終了しています。

その結果、現在の日本はアルミニウムの原料となる地金をほぼ100パーセント海外からの輸入に依存せざるを得ない極めて脆弱な構造になってしまったのです。

— そこに今回の世界的な供給ショックが直撃したわけですね。実際の調達価格はどのように推移しているのでしょうか。

冨田 日本の企業がアルミニウムを調達する際の価格は、主に3つの要素で決定されます。

世界の指標となる「LME(ロンドン金属取引所)価格」、
日本市場向けの上乗せ価格である「ジャパンプレミアム」、
そして「為替レート」です。

現在の最大の問題は、これらすべての指標が同時に上昇しているという点です。現在、価格が上がる要因しかないのです。
数年前の平時であれば、1キログラムあたり200円台から300円台で推移していたインゴット価格が、先月には500円台へと跳ね上がり、足元の4月の段階で一気に660円を超える水準に達しました。
わずかな期間でキログラムあたり100円以上も高騰するという異常な事態であり、このまま供給不安が続けば、将来的には800円台にまで到達する危険性も十分に孕んでいます

— かつての価格から見れば、実に3倍から4倍近い高騰ということになりますね。価格が高くても、他の国から調達先を切り替えることはできないのでしょうか。

冨田 それが非常に困難なのです。「価格が高いなら、中東ではなくブラジルやオーストラリアから買えばいい」と単純にはいきません。
アルミニウムの大手精錬メーカーは、世界中の顧客と年間を通じた長期契約を基本として生産計画を立てています。突然「中東から入らなくなったから、明日から御社のものを売ってほしい」と頼み込んでも、既に今年の生産枠や供給枠は世界中の企業で埋まっており、新規のスポット対応には応じられないという回答が返ってきます。

代替の調達先が即座に見つからない以上、この供給危機は短期的な価格調整では済まされない、長期にわたる構造的な問題なのです。


缶ビール、マンション、医薬品、パソコン…逃げ場なき全方位値上げへの連鎖

— これほどの価格高騰が続くと、最終的に私たちの日常生活や産業界にはどのような形で影響が表れてくるのでしょうか。

冨田 アルミニウム価格の異常な高騰は、企業の自助努力で吸収できる限界をとうに超えています。そのため、最終製品への価格転嫁という形で、確実に消費者の皆様の負担となって跳ね返ってきます

最も身近で分かりやすい例が、飲料用のアルミ缶です。これだけ原材料費が上がれば、缶ビールや缶チューハイ、清涼飲料水などの価格は引き上げざるを得ません。
「それならばアルミニウムを避けて、ペットボトルなどのプラスチック容器に代替すれば良い」と考える方もいらっしゃるかもしれませんが、事態はそう簡単ではありません。
プラスチックもまた石油化学製品であり、現在の中東情勢の悪化による原油価格の高騰の影響をダイレクトに受けています。
つまり、逃げ場がないのです。

— 飲料以外にも、影響が懸念される分野は多岐にわたるのでしょうか。

冨田 はい。自動車産業への影響は極めて深刻です。燃費向上のための軽量化が進んだ現在、自動車1台につき平均して約200キログラムものアルミニウムが使用されているとも言われております。インゴット価格が数倍になれば、それだけで車体価格のコスト増に直結します。

さらに、建築材料への波及も避けられません。住宅や高層マンションの窓枠(アルミサッシ)や外壁パネルなど、建設現場では大量のアルミニウムが使われています。
現在でも「資材高騰でマンション価格が上がりすぎて買えない」という声を聞きますが、窓枠の調達コストが倍増すれば、住宅価格のさらなる高騰を招くことになります。

その他にも、医療用医薬品の包装材料から、家庭で毎日使うアルミホイル、パソコンに至るまで、生活のあらゆる場面で値上げの波が押し寄せることになります。関わらないものを探す方が難しいくらいです。

— 私たちの生活インフラや、よりマクロな経済への影響という点ではいかがでしょうか。

冨田 私たちが日常的に利用する新幹線の車両や、航空機の機体も、その大部分がアルミニウム合金で製造されています。例えばわかりやすく、これまでは1車両あたり1億円で製造できていたものが、原材料高騰によって1億5000万、2億円とかかるようになる可能性だってあります。そうなれば、最終的には運賃等への影響も否定できません。
また、日本の根幹産業である半導体製造装置の部品にも高精度なアルミニウムが不可欠です。

現在の日本経済は、給与水準が物価上昇に追いつかないと中小企業が悲鳴を上げている状況です。そこに今回の、全方位的なコストプッシュ型のインフレが襲いかかるわけです。賃金が上がらない中で物価だけが上昇し続ける、まさにスタグフレーションという最悪の経済シナリオが現実のものとなりつつあります。


ニュースが報じない真実。与信枠の壁が引き起こす最も恐ろしいシナリオ

— 一般のニュース報道では「アルミの価格が上がって家計が大変だ」という論調が目立ちますが、調達の最前線で実務に携わる専門家の視点から見て、世の中にまだ伝わっていない決定的な危機とは何でしょうか。

冨田 私が今、最も強い危機感を抱いており、なおかつメディアがほとんど報じていない核心部分があります。
それは、企業間取引における「与信限度額」の壁です。ニュースでは単に「価格が上がった」という事実だけが報じられますが、ビジネスの実務においては、これが致命的な供給停止を引き起こすトリガーとなるのです。

— 「与信限度額」が供給停止の引き金になるメカニズムを、詳しく教えていただけますか。

冨田 商社がメーカーなどの顧客に材料を卸す際、無制限に売るわけではありません。各企業の財務状況や信用度に応じて、「この会社には月間いくらまでなら掛け売り(後払い)をして良い」という取引の限度額、すなわち与信枠が厳格に設定されています。

ここで、アルミニウムの価格が従来の4倍に跳ね上がったと仮定してください。

顧客企業の与信限度額が1億円だとしたら、価格が安かった時代には1億円分の十分な量のアルミニウムを仕入れることができました。しかし、価格が4倍になれば、同じ1億円の限度額で仕入れられる、物理的な量は4分の1に激減してしまいます

— つまり、企業側に「高くても買う」という意思があったとしても、枠が足りずに物理的に材料を調達できなくなるということですね。

冨田 まさにその通りです。そして、材料が規定量確保できなければ、自社の工場の稼働率を下げざるを得ません。作る量が減れば、当然ながら納品先への供給責任を果たせなくなります。
この連鎖的な危機感から、現在、日本の自動車メーカーなどの調達現場ではフォースマジュール(不可抗力)という言葉が飛び交い始めているようです。

これは「天災や戦争などの予測不可能な事態により、契約通りの供給が履行できない」と宣言する免責条項のことです。
「本当にモノが来なくなるかもしれない」「供給ラインが維持できない」という切実な声が、現場の最前線からはっきりと聞こえ始めているのです。

— そのような状況下では、立場の弱い企業から先に淘汰されてしまう危険性があるのでしょうか。

冨田 残念ながら、企業間の二極化が残酷なまでに進むと予想しています。潤沢な手元資金を持ち、金融機関からの信用スコアも高い大手企業に対しては、商社も与信枠を拡大して優先的に材料を供給するでしょう。
しかし、資金繰りに余裕がない中小企業は、与信枠の壁に阻まれて材料を確保できなくなります。

例えば、アルミニウムを溶かして自動車のエンジン部品やホイールを製造している中小の鋳物メーカーがあるとします。彼らに中東からのインゴットが届かなくなれば、部品の製造ラインは完全にストップします。
車の部品が一つでも欠ければ完成車は作れませんから、結果として巨大な自動車メーカーの最終組み立てライン全体が連鎖的に止まってしまうという事態に発展します。

日本のモノづくりを根底で支えている中小企業が、材料不足によって連鎖倒産の危機に瀕するというのが、このアルミショックの最も恐ろしいシナリオなのです。


パラダイムシフトの到来。「安さこそ正義」からの脱却。

— この未曾有の危機に対し、日本の産業界は今後どのように立ち向かっていくべきなのでしょうか。

冨田 昭和から平成にかけて、日本の産業界はグローバル調達という名のもとに、世界中から最も安価な材料をかき集め、大量に生産して消費するというモデルで成長してきました。「安さこそが正義」だったわけです。

しかし、今回のアルミショックは、その前提が完全に崩壊したことを意味しています。私はこれを「第2のエネルギーショック」のようなものだと捉えていますが、地政学的なリスクによって供給網が寸断される現代において、もはやグローバル調達のみに依存することは大きな経営リスクでしかありません。

これからの時代は、海外の安価な資源に依存する体制から脱却し、コストがかかったとしても国内回帰を果たし、持続可能なローカル循環へとシフトしていくという明確なパラダイムシフトが求められているのです。

— 具体的に、国内回帰やローカル循環とは、どのようなアクションを指すのでしょうか。

冨田 国内で発生したアルミスクラップを活用した、リサイクルによる国内での資源循環です。これは絶対に不可欠なアプローチになります。

ただ、ここで一つ誤解してはならない重要なポイントがあります。
それは「リサイクルを使えば材料費が安くなる」という考え方は捨てるべきだということです。
現在、新地金の価格が高騰していることに引っ張られ、国内のアルミスクラップ価格も歴史的な高値で推移しています。ですから、コストダウンだけを目的としたリサイクルはもはや成立しません

私たちがリサイクルを推進する最大の理由は、海外の紛争や海峡封鎖といったコントロール不可能なリスクに左右されない「安定した供給網」を国内に構築するためです。
さらに、環境価値という観点も見逃せません。ボーキサイトから電気分解で新しいアルミニウム地金を作る場合に比べ、使用済みのアルミを溶かしてリサイクルする場合の二酸化炭素排出量は、およそ4分の1に抑えられます
地球環境に配慮したグリーンアルミを選択する企業姿勢が、今後の国際社会における企業価値を左右することになります。

— そうした新しい循環の仕組みを、実際に社会へ実装していくことは可能なのでしょうか。

冨田 もちろんです。というより、やらなければ生き残れません。
今回の危機で浮き彫りになったのは、資源を海外からの輸入に頼り切っていると、今回のような不可逆な事態が起きた時に、日本国内の産業全体がたちまち存続の危機に瀕してしまうという恐ろしい現実です。

だからこそ、アルミニウムについては、国内でリサイクルできるものは絶対に国内でリサイクルしなければならないのです。現在、日本国内で出た良質なアルミのスクラップが、目先の価格のために海外へ輸出されてしまっている現状があります。
しかし、資源を持たない日本が本気で危機管理をするならば、そうしたスクラップを安易に海外に流出させるのではなく、国内の循環ネットワークにしっかりと回して自給率を高めていくべきです。

私どもホクセイ金属でもリサイクル事業を行っておりますが、昨日今日、世間で流行り始めたからという理由で取り組んでいるわけではありません。
実はもう15年から20年近く前から、地域に根ざしたアルミニウムの循環ネットワークを地道に構築してまいりました。

遠い海外からリスクを抱えて資源を持ってくるのではなく、手の届くローカルな範囲で資源を回すこと。単発の取引ではなく、長年にわたる信頼関係に基づいた確固たる循環の輪を築くことこそが、いざという時の供給危機を乗り越える最大の防御策になると確信しています。


資源小国の逆襲。日本の意識を変え、輸入依存を解消するための生存戦略

— お話を伺っていると、単なる一企業の問題にとどまらず、国全体としてのあり方が問われているように感じます。

冨田 まさにその通りです。厳しい言い方になるかもしれませんが、これまでの日本は「お金を出せば海外からいつでも何でも買える」という平和ボケした幻想に浸っていたのではないでしょうか。

今こそ、その幻想から目を覚まさなければなりません。資源を持たない島国である日本が、アルミニウムという産業の核とも言える重要資源を100パーセント海外に依存し続けることは、国家の生存戦略としてあまりにも無防備で危険です。
今回のアルミショックを「物価が上がって大変だ」という単なる一過性のニュースとして消費しては絶対にいけません。

私たち自身の問題として真剣に向き合い、国内で循環できるものは国内で回し、どうしても必要なものは確固たる信頼関係のもとで調達するという、したたかな国家観と企業戦略を持つべき時期に来ているのです。

— 原材料の調達コストが根本的に上がり続ける中で、資源を持たない日本企業が世界で戦っていくための「武器」はあるのでしょうか。

冨田 発想を根本から変えるしかありません。これまでのように「いかに安く作るか」というコスト競争の土俵に乗っていては、立ち行かなくなります。
これからは、価格が高くても顧客から「どうしても欲しい」と選ばれる、高付加価値化への転換が急務です。
例えばですが、日本が持つ価値として、日本が世界に誇るアニメーションやキャラクターなどのIP、すなわち知的財産などがあるかもしれません。

これまでの日本は資源を買ってくるだけの輸入型ビジネスが中心でしたが、これからは違います。私たちが持つ高品質なアルミニウム加工技術と、世界中で愛される日本のIPを掛け合わせてみる。
ただの無機質な製品を売るのではなく、そこに日本の強力なコンテンツという付加価値を乗せて世界へ輸出していく。
資源を持たない日本だからこそ、知恵と技術とコンテンツを掛け合わせることで新しい価値を生み出し、外貨を稼ぐ強靭なビジネスモデルを構築できるはずです。

— 最後に、この激動の時代を迎えるにあたり、私たち一人ひとりが持つべき視点についてお聞かせください。

冨田 最も重要なのは、あらゆる事象を「自分ごと」として捉える力です。
中東でミサイルが飛んだというニュースを見て、遠い国の話だと片付けるのではなく、自分の生活や自社の仕入れにどう直結するのかを想像し、危機感を持って行動するサバイバル力が必要です。
国や誰かが何とかしてくれるという受け身の姿勢や、あらかじめ用意された正解を暗記するだけのエスカレーター式の教育では、この激動の時代を生き抜くことはできません。

現場に足を運び、自ら一次情報をつかみ取る行動力が問われています。そしてどうしたら解決、良くなるのかを考え、小さいことでも良いから行動してみる。そうしたことが求められると思うのです。

現状をただ嘆くのではなく、この未曾有の危機を日本が生まれ変わるための明確なパラダイムシフトの好機と捉えるべきです。
一人ひとりが当事者意識を持ち、自ら考え行動する。

そうした意識の変革こそが、長年の輸入依存から脱却し、日本の未来を切り拓く最大の鍵になると私は強く信じています。