2021年9月29日、自民党総裁選が行われ、岸田文雄氏が第27代総裁に選出されました。
岸田文雄氏と言えば、自民党で最も歴史のある名門派閥「宏池会」の会長であり、外務大臣・防衛大臣として活躍されておりました。
今回の総裁選候補者4人のうち、高市早苗氏以外はそこまで具体化された政策については発信していなかったので今後どうなっていくかはわかりませんが、岸田氏が示されてる意向の中では経済政策が大きなところで、「新しい日本型資本主義~新自由主義からの転換~」と銘打ち、令和版の「所得倍増計画」を掲げております。
金融・財政政策及び税制について
大胆な金融緩和(財政政策、成長戦略)によるデフレ脱却を最優先としています。
日銀の物価目標に関しては2%を維持、数十兆円規模の経済対策を行い、基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化目標は必要なら先延ばしも検討する意向です。
消費税については「10年程度は上げることは考えない」と述べております。
新型コロナウィルス対策について
新型コロナウィルス対策については、4本柱を掲げております。
・医療難民ゼロ
・ステイホーム可能な経済対策
・電子的ワクチン接種証明の活用と検査の無料化・拡充
・感染症有事対応の抜本的強化
その上で、2つの機関の創設を検討されてます。
・強い司令塔機能を有する「健康危機管理庁(仮称)」
・「臨床医療」、「疫学調査」、「基礎研究」を一体的に扱う「健康危機管理機構(仮称)」
外交・防衛について
自由で開かれたインド太平洋構想を推進すると述べております。
また、台湾海峡の安定・香港の民主主義・ウィグルの人権問題などには毅然と対応する姿勢です。
また、日米同盟の強化、先端半導体の安定供給確保など経済安全保障も強化するとのことです。
中国との対話については「維持」する考えです。
エネルギー政策について
再生可能エネルギーの一本足打法ではなく、原発再稼働などを含む「クリーン・エネルギー戦略」の策定する意向です。
また、原発の新増設に関しては、慎重な姿勢を示しつつ、既存原発の再稼働を進める姿勢を示しました。
「令和版」所得倍増計画について
冒頭に述べた「令和版」所得倍増計画については、成長と分配の好循環を目指す方針です。
成長戦略は、以下の4本柱です。
・科学技術立国
・経済安全保障
・デジタル田園都市国家構想
・人生100年時代の不安解消
10兆円規模の大学ファンド設立し、経済安全保障推進法の策定と専任大臣の設置、地方におけるデジタル・インフラの整備などを行うと述べております。
当社と関わる部分
新型コロナウィルスの対策に関しては、当社にも大いに関係する部分ではありますが、ここは当社だけではなく全国民に関係する部分になります。
今回は当社の事業の一つのアルミに関わるエネルギー政策についてピックアップします。
総裁選前の脱炭素政策に関するアンケートで、岸田氏は次のような回答をしております。
Q.1菅政権の2050年カーボンニュートラルを支持するか
「支持する」
Q.2今後伸ばしていくべき再エネは何か
「日本の置かれた状況を踏まえ、あらゆる可能性を追求していくべき」
Q.3エネルギー基本計画における、2030年の再エネ比率36~38%をどのように考えるか
「十分である」
議論にされるのが主に「原発の再稼働」についてなのですが、2030年度までに温室効果ガスの排出を2013年度比で46%減らすという中間目標に対して、原発の再稼働の有無に関わらず具体的な施策が気になるところです。
今年7月26日に出された「地球温暖化対策計画(案)」の中では、「廃プラスチック・廃油などの廃棄物の焼却に伴う二酸化炭素排出量を削減する」(P.58)と示した上で、「事業活動における環境への配慮の促進」として「温室効果ガスの排出削減に向け、環境配慮の視点を経済活動に適切に織り込むとともに、事業活動における投資や技術開発を促進する。」と発表しております。(P.74)
これにより、良品計画のようにペットボトルをアルミ缶に変え、脱プラスチックに取り組む企業が増える可能性もあると考えております。
この「地球温暖化対策計画(案)」を踏まえた上で、岸田政権がどのような形でさらに具体化された施策を出すのか楽しみです。